日本軽金属株式会社

ニュースリリース

厚板から薄板までのFSW技術及びFSW設備導入について

平成21年7月9日
各 位
日本軽金属株式会社
日軽金アクト株式会社

厚板から薄板までのFSW(注1)技術及びFSW設備導入について

 日本軽金属株式会社(東京都品川区、社長:石山 喬)および日軽金アクト株式会社(東京都品川区、社長:清水幹雄)では、英国TWI社(注2)から技術導入したFSW技術を進化させ、アルミニウム板および押出形材の接合において、接合する材料の厚さが150mmまでの接合を可能とする技術を完成させました。特に20mm以上の厚板の接合につきましては、大型厚板専用のFSW設備を導入し、厚さ150mmの厚板の接合を実現しました。

 

 日本軽金属では、1998年から鉄道車両用の押出形材の接合にFSWの適用を開始しており、現在までの接合距離は20万メートルの実績があります(日軽金アクトでの実績を含む)。FSW技術の導入後、日本軽金属および日軽金アクトでは、溶接に比べ、接合部分の強度が高い、作業の自動化によりコスト低減効果が高いなどのFSWの特長を活かした製品開発と提案営業をおこない、おもに電気・電子機械部品、精密機械部品、輸送関連部品などの分野でFSWを用いた製品を納入しています。

 

 アルミ厚板の分野においては、お客様のご要望にお応えするために、厚さ20mm以上の厚板をFSWする技術を開発するとともに、厚板専用の大型FSW設備を導入しました。これによる最大の接合深さは、5052、6061材で77mmであり、従来にない接合深さを達成しています。さらに、この接合を材料の両面から施すことにより厚さ150mmまでの厚板の接合が可能となり、現在、液晶・半導体製造装置向けなどに大型厚板製品を納入しています。なお、試験的には、厚さ100mm(両面からの場合、厚さ200mm)までのFSWを達成しており、今後、実用化を目指します。

 

 気密性が重要視される液晶・半導体製造装置部品に対して、FSWは最も有効な接合方法です。この度導入しました大型FSW設備では、液晶製造装置に利用されている大型水路構造製品の製作も可能で、日本軽金属グループでは多くの製品で実績を残しています。さらに、液晶・半導体製造装置以外の分野での用途拡大を目指して、2000系および7000系合金におけるFSW技術を構築してまいります。

 

 また、日軽金アクトにおいては、鉄道車両関連以外でも、コンピューターの熱対策製品としてFSW製コールドプレートを量産しているほか、精密大型押出材をFSWすることにより大断面の形材の供給が可能となり、精密機械部品、高強度金型など各分野から評価をいただいています。また、薄板FSW技術に関しては、マイクロFSW技術の開発により、厚さ1mm以下の材料においてもFSWを可能としています。

 

 2008年12月に発売された富士通株式会社様の最高級ノートパソコン「FMV-BIBLO NWシリーズ」に超小型ラジエターとともに搭載されたCOOLING PLATEでは、5052板材とダイカストとの接合を、マイクロFSW技術により、0.8mmの厚さで実現しています。また、試験では0.5mmの板材とダイカストの接合を達成しています。

 

 日本軽金属グループでは、薄板から厚板、精密大型形材まで接合できる技術と設備を充実させてきました。今後も、多くの分野でFSW技術を活用した製品開発に注力し、お客様のニーズに応えてまいります。

 
 
 

<日本軽金属グループのFSW設備>
  接合深さ(厚さ)
  0.5mm ~ 3.0mm: 1台
  3.0mm ~ 30.0mm: 6台
  30.0mm ~ 100.0mm: 1台

 

注1: FSW
 Friction Stir Welding の頭文字を取ってFSWと略されている。日本語では摩擦攪拌接合と呼ばれている。高速で回転しているFSWツールを被接合材に接触させて材料を発熱させて、その摩擦熱とFSWツールによる塑性流動で材料が接合される技術である。
 このFSWは英国のTWIで1991年に開発された技術であり、日本では1995年頃から研究開発が開始されている。

 

注2: TWI社
 TWI Ltd.
 英国にある溶接技術の研究開発機関であり、FSWの基本特許を保有している。
 日本軽金属はこのTWIから1997年からFSWの技術ライセンスを受けている。

 

以 上

 

<写真>

 
  「厚板FSW」
 

 

 

 
  「マイクロFSW」
 

 

 

 

 


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日本軽金属株式会社 プロジェクト担当(河本) 03-5461-9584
日軽金アクト株式会社 営業開発グループ(奥野) 03-5461-8204

リリースに関するお問い合わせ先:
日本軽金属株式会社 広報・IR室 TEL:03-5461-9333

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